最終確認日:2026年7月9日(本文中の法律番号・施行日・措置内容をすべて厚生労働省の一次情報で確認)
「育児・介護休業法が改正された」というニュースは見たものの、自社が何をいつまでにやればいいのか整理できていない会社は多いはずです。このページでは、従業員が受け取る給付金の話ではなく、会社側が講じる義務・努力義務にしぼって、施行時期ごとに何が変わるのかをまとめます。
改正の全体像|2段階施行の根拠
今回の改正の根拠は、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び次世代育成支援対策推進法の一部を改正する法律(令和6年法律第42号)です。2024年5月24日に成立し、同月31日に公布されました。この改正法により、介護関連の改正はすべて2025年(令和7年)4月1日に施行され、育児関連の改正は2025年4月1日施行分と同年10月1日施行分の2段階に分かれています。
育児関連|2025年4月1日施行
| 改正項目 | 内容 | 対象 | 性質 |
|---|---|---|---|
| 子の看護等休暇の見直し | 対象となる子の範囲を「小学校就学前」から「小学校3年生修了まで」に拡大。取得事由に感染症に伴う学級閉鎖等・入学式や卒園式への参加を追加。労使協定による「継続雇用6か月未満の労働者」の除外規定も廃止 | 全企業 | 義務 |
| 所定外労働の制限の拡大 | 対象を「3歳未満の子を養育する労働者」から「小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者」に拡大 | 全企業 | 義務 |
| 育児のためのテレワーク導入 | 3歳未満の子を養育する労働者の短時間勤務制度の代替措置として、テレワーク等の導入を追加 | 全企業 | 努力義務 |
| 育休取得状況の公表義務拡大 | 男性の育児休業等取得割合等の公表義務の対象を、従業員1,000人超に加えて300人超1,000人以下の企業にも拡大 | 300人超の企業 | 義務 |
介護関連|2025年4月1日施行(すべて4月)
| 改正項目 | 内容 | 対象 | 性質 |
|---|---|---|---|
| 介護休暇取得要件の緩和 | 労使協定によって「継続雇用期間6か月未満の労働者」を介護休暇の対象外にできる規定を廃止。除外できるのは週の所定労働日数が2日以下の労働者などに限られる | 全企業 | 義務(要件変更) |
| 個別周知・意向確認 | 介護に直面した旨の申出をした労働者に、介護休業制度等の周知と利用意向の確認を個別に行う | 全企業 | 義務 |
| 40歳到達時の情報提供 | 労働者が40歳に達する日の属する年度、または40歳に達する日の翌日から1年間のいずれかの時期に、介護休業制度等の情報を提供する | 全企業 | 義務 |
| 雇用環境整備 | 研修の実施・相談体制の整備・自社の利用事例の収集提供・利用促進方針の周知のいずれかを講じる | 全企業 | 義務 |
| 介護のためのテレワーク導入 | 介護をしながら働く労働者に対するテレワーク等の導入 | 全企業 | 努力義務 |
育児関連|2025年10月1日施行
| 改正項目 | 内容 | 対象 | 性質 |
|---|---|---|---|
| 柔軟な働き方を実現するための措置 | 3歳から小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者に対し、始業時刻等の変更・テレワーク等・保育施設の設置運営等・養育両立支援休暇・短時間勤務制度の5つから2つ以上を選んで講じる | 全企業 | 義務 |
| 柔軟な働き方関連の個別周知・意向確認 | 子が1歳11か月に達する日の翌々日から2歳11か月に達する日の翌日までの間に、対象措置の内容を周知し利用意向を確認する | 全企業 | 義務 |
| 個別の意向聴取・配慮 | 妊娠・出産等の申出時、または子が3歳になるまでの間に、勤務時間帯・勤務地・両立支援制度の利用期間等について労働者の意向を聴取し配慮する | 全企業 | 義務 |
柔軟な働き方の措置は「選択肢から2つ以上」を会社が選び、そのうえで労働者が1つを選んで利用する仕組みです。選び方の判断軸や導入手順は、柔軟な働き方措置の選び方と導入手順で詳しく解説しています。個別周知・意向確認の具体的なタイミングと面談テンプレの骨子は、個別周知・意向確認のやり方にまとめています。
中小企業は対象外になるのか
確認できた範囲では、企業規模を理由に適用そのものが除外される改正項目はありません。唯一、育児休業取得状況の公表義務の対象拡大だけが「300人超1,000人以下」という企業規模で区切られており、それ以外の項目(看護等休暇の拡大・所定外労働の制限拡大・柔軟な働き方の措置・個別周知や意向確認・介護離職防止の雇用環境整備など)は、企業規模を問わず全企業が対象です。「うちは小さい会社だから関係ない」とは判断できない改正だという前提で、対応を進める必要があります。
何から手をつけるか|未対応チェックリスト
担当者が実際にやることを整理すると、次のような項目になります。すでに対応済みの項目にチェックを入れて、残りを洗い出す使い方を想定しています。
- 子の看護等休暇の対象・取得事由を、小学校3年生修了までの範囲に更新した
- 所定外労働の制限の対象範囲を、小学校就学前までに更新した
- 子の看護等休暇・介護休暇の対象者から「継続雇用6か月未満」を除外する規定が残っていないか確認した
- 介護に関する雇用環境整備(研修・相談体制・事例収集・方針周知のいずれか)を1つ以上実施した
- 40歳到達時の情報提供の運用(誰が・いつ・どう伝えるか)を決めた
- 柔軟な働き方の措置を2つ以上選び、過半数労働組合等からの意見聴取を行った
- 妊娠・出産等申出時、3歳になるまでの間、介護に直面した申出時の個別周知・意向確認の運用手順を決めた
- 就業規則・育児介護休業規程に上記の変更点を反映した
よくある質問
育児・介護休業法の改正はいつから施行されていますか?
令和6年法律第42号(2024年5月24日成立、同月31日公布)にもとづき、介護関連の改正はすべて2025年4月1日、育児関連の改正は2025年4月1日と同年10月1日の2段階で施行されています。
中小企業も対象になりますか?
確認できた範囲では企業規模による適用除外はありません。育児休業取得状況の公表義務の対象拡大(300人超1,000人以下が対象)だけが企業規模で区切られており、それ以外の項目は全企業が対象です。
何から手をつければいいですか?
まず自社が4月施行分・10月施行分のどちらに未対応かをチェックリストで洗い出し、次に就業規則・育児介護休業規程の改定が必要な箇所を特定するのが進めやすい順番です。
育児休業給付・介護休業給付の金額の話とは別ですか?
別の切り口です。このページは会社側が講じる制度対応を扱っており、従業員が受け取る給付金の金額や要件は、当サイトの育児・介護休業給付ガイドで解説しています。
- 衆議院「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び次世代育成支援対策推進法の一部を改正する法律」(令和6年法律第42号・成立日・公布日)
https://www.shugiin.go.jp/Internet/itdb_housei.nsf/html/housei/21320240531042.htm - 厚生労働省 育児休業制度特設サイト「法改正のポイント」(2025年4月・10月施行項目の一覧)
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/ryouritsu/ikuji/law-amendment/ - 厚生労働省 育児休業制度特設サイト「柔軟な働き方を実現するための措置」
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/ryouritsu/ikuji/flexiblework/ - 厚生労働省「令和7年4月1日施行の内容」(都道府県労働局向け解説資料。子の看護等休暇・所定外労働の制限の対象拡大等)
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001407488.pdf - 厚生労働省「子の看護休暇の見直し等」(全企業対象の改正項目一覧)
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001259367.pdf - 厚生労働省「男性労働者の育児休業取得率等の公表が従業員300人超1,000人以下の企業にも義務化されます」
https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/001029776.pdf - 厚生労働省 和歌山労働局「個別の制度周知・休業取得意向確認と雇用環境整備の措置等」(介護関連の義務の詳細)
https://jsite.mhlw.go.jp/wakayama-roudoukyoku/newpage_00634.html
本文中の法律番号・日付・改正項目の記述は、上記の一次情報にもとづいています。個別の会社への当てはめ方や運用の細部は、続報や個別の事情によって変わることがあります。
本記事で扱う制度は、育児介護休業法(育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律)に定められています。2025年施行の各改正は、令和6年法律第42号による改正にもとづくものです。条文はe-Gov法令検索で確認できます。
e-Gov法令検索:育児介護休業法 →
※このページは、制度の一般的な仕組みを解説する情報提供を目的としています。制度の詳細や個別の事業所への当てはめは、施行に向けた続報や個別の事情によって変わることがあります。最新の正確な情報は、厚生労働省・都道府県労働局にご確認ください。社会保険労務士による個別相談・書類の作成代行ではありません。