🧭 解説ガイド

週20時間の壁は残る
撤廃後も加入を分ける条件

106万円の壁(賃金要件)が撤廃されても、社会保険に入るかどうかを分ける基準そのものはなくなりません。撤廃後に何を見て自分が対象になるか判断するかを整理します。

最終確認日:2026年7月9日(日本年金機構の一次情報にもとづき確認)

「106万円の壁がなくなる=社会保険に入らなくてよい」ではありません。賃金要件がなくなったあとも、加入するかどうかを分ける基準は残ります。中心になるのは週の所定労働時間です。自分がどちら側になるのかを、要件ごとに確認していきます。

撤廃後に残る4つの基準

106万円の壁の撤廃とはで整理したとおり、短時間労働者の加入要件は5つあり、なくなるのは賃金要件(月額8.8万円以上)だけです。残る4つの基準を、実際にどう判定されるかまで見ていきます。

残る要件撤廃後も変わらない判定の考え方
週の所定労働時間が20時間以上労働契約で決まっている所定労働時間で判定。実労働時間の一時的な増減では基本的に変わらない
継続して2か月を超えて使用される見込み雇用期間が2か月以内の契約でも、実態として更新が続けば対象になり得る
勤務先が特定適用事業所であること厚生年金の被保険者数51人以上の企業等(2027年10月から段階的に人数基準が縮小)
学生でないこと学生は原則対象外。ただし後述の例外に当たる学生は対象になる

「週20時間」は契約上の所定労働時間で見る

週20時間以上かどうかは、実際に働いた時間ではなく、労働契約で定められた所定労働時間で判定するのが原則です。シフトの都合で残業が発生し、一時的に週20時間を超えても、それだけで社会保険の加入対象になるわけではありません。

ただし例外があります。契約上の所定労働時間が週20時間未満でも、実労働時間が週20時間以上の状態で2か月連続し、なおその状態が続くと見込まれる場合は、3か月目から加入対象になる取り扱いです。単発の繁忙期による超過ではなく、恒常的にシフトが増えている場合は、この基準に当たっていないかを確認したほうがよい状況です。

シフトを「週20時間未満に抑える」働き方を選ぶ人にとっては、この2か月連続ルールが実務上の分かれ目になります。単月だけ働きすぎても加入対象にはなりませんが、増えた状態が2か月続くと3か月目から対象になり得る、という時間軸で考える必要があります。

学生除外には例外がある

学生は原則として短時間労働者の加入対象から除かれますが、次に当てはまる人は学生であっても加入対象になります。

昼間の大学・専門学校等に在学しながら短時間だけ働く一般的な学生アルバイトは、引き続き除外の対象です。ただし、次に説明する4分の3基準を満たすほど長時間働く場合は、学生であっても別の基準で加入対象になります。

週20時間未満でも加入対象になることがある(4分の3基準)

ここまでの5要件は、週30時間未満の短時間労働者向けの基準です。これとは別に、同じ職場の正社員(通常の労働者)と比べて、1週間の所定労働時間および1か月の所定労働日数がおおむね4分の3以上ある人は、企業規模や賃金額に関わらず、もともと社会保険の加入対象です。この基準は今回の改正の対象ではなく、撤廃後もそのまま残ります。

つまり「週20時間未満に抑えれば必ず社会保険に入らずに済む」わけではありません。正社員の所定労働時間が週40時間の職場であれば、週30時間程度働く人はこの4分の3基準で加入対象になっている可能性があります。自分の労働時間が正社員の何割にあたるかも、あわせて確認しておく点です。

撤廃後、自分が対象になるかの確認手順

  1. 雇用契約書で週の所定労働時間を確認する(20時間以上かどうか)
  2. 勤務先の従業員数(厚生年金の被保険者数)が51人以上かどうかを確認する(不明な場合は勤務先の総務・人事に確認)
  3. 学生である場合は、前述の例外(休学・夜間部・定時制・通信制・卒業予定)に当てはまるかを確認する
  4. 実際のシフトが契約上の所定労働時間を恒常的に超えていないかを振り返る

この4点を確認すれば、2026年10月の賃金要件撤廃後に自分が対象になるかどうかのおおよその見当がつきます。細かい判定に迷う場合は、勤務先または年金事務所に相談すると確実です。

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よくある質問

106万円の壁が撤廃されたら、週20時間未満で働けば社会保険に入らずに済みますか?

はい。週の所定労働時間が20時間未満であれば、賃金要件が撤廃された後も短時間労働者としての加入対象にはなりません。ただし4分の3基準に当てはまる場合は、週20時間未満かどうかに関わらず別の基準で加入対象になることがあります。

契約は週20時間未満でも、残業で週20時間を超えることがあります。この場合どうなりますか?

契約上の所定労働時間が20時間未満であれば、一時的な超過だけで加入対象にはなりません。ただし実労働時間が週20時間以上の状態で2か月連続し、なお続く見込みがある場合は、3か月目から加入対象になる取り扱いが一般的です。

学生アルバイトは撤廃後も社会保険に入らなくてよいですか?

原則として学生は加入対象から除かれ、この扱いは撤廃後も残ります。ただし卒業見込証明書を持ち卒業前に就職して継続勤務する予定の人、休学中の人、夜間部・定時制・通信制課程の学生などは、学生であっても加入対象になります。

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出典(一次情報・いずれも2026年7月9日に確認)
  1. 日本年金機構「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大」(5要件・学生除外の例外・4分の3基準)
    https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/tekiyo/jigyosho/tanjikan.html
  2. 厚生労働省「社会保険の加入対象の拡大について」(企業規模要件の段階的縮小スケジュール)
    https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000147284_00021.html

本文中の加入要件・判定の考え方は、上記の一次情報にもとづいています。個別の勤務実態への当てはめは、勤務先または年金事務所への確認が確実です。

※このページは、制度の一般的な仕組みを解説する情報提供を目的としています。加入判定は個別の雇用契約・勤務実態によって変わることがあります。最新の正確な情報は、日本年金機構・勤務先・年金事務所にご確認ください。社会保険労務士による個別相談・書類の作成代行ではありません。